久しぶりに血が騒いだ
NHKの番組、[男自転車ふたり旅~チェコ ボヘミアの街道をゆく] を観た。演出もあっただろうけど、
チェコの自然はきれいだし、若者二人の振る舞いも気さくで気持ちがよかった。
自転車旅行というとどうしたって、40年前の高1の夏、生まれて初めての自転車旅行を
思い出す。
自転車のこともツーリングのこともよく知らないまま、ただただ雰囲気とあこがれだけで、
友人3人と自転車旅行を計画した。最初は房総半島1周だったんだけど、そりゃ無理
だろうということで計画頓挫、房総半島とばぐちの富津までが最終地点となった。
それでも行程約500キロ、テントを持って4泊5日だったか5泊6日だったか。この辺
の記憶は定かでないが、真夏の旅はけっこうきつかった。
一番遠くのオレから始まって、だんだん友達が一人ずつ合流していった最初のうちは楽しかった。
けれど、行程も半ばになってくると誰も口数少なくペダルを踏む足取りも重く…。オレもきついな
きついなと思いながら走っていた。途中でわかったことだけど、実はオレの自転車は、前輪に
ブレーキの片方がはりついたままになっていたのだ。ハンドルの上にやたら重いテントを
載せていたせいだったのかもしれない(オレがテントの係だった)。自転車屋に行くことも
思いつかず、結局最後までそれで走ったんだけど、足がパンパンになった。
宿泊には、確か小学校の校庭やキャンプ場なんかを借りた。今じゃ考えられないことだけど、
校庭では水道で水を浴びさせてもらったし、朝はテントの中で小学生(?)がラジオ体操する
のを聞いていた。キャンプ場のおじさんには群馬から来たといったら、ご飯をごちそうして
もらえた。極めつけは江戸川の土手。朝、目が覚めたら釣り人がずらりと並んでいて、
びっくりした(笑)。富津に着いて銭湯に入ったのが、実に気持ち良かったなあ。
しかし一番忘れられないのは最初に泊まった校庭でのこと。実は近所の小学生姉妹と仲良く
なって、朝はたぶん自分たちで握ったでかい塩握りなんか持ってきてくれて、写真も仲良く
撮ったのに、送ると約束したその写真をずぼらなオレたちはとうとう送りそびれたのだ。
思い出すたび胸がうずく。
少年でも大人でもない時代の背伸び、本人にとってのいわば冒険は、切れ切れの場面場面が
フラッシュバックのように脳裏に浮かび上がって、いつまでも消えないから不思議だ。