RIKI舎―雲とマンサク

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グレッチのホワイトファルコン:ニール・ヤング『渚にて』

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 池袋のヤマハ(今もある?)のショーウィンドウに、グレッチのホワイトファルコンがあった。

30年も前の話だ。それが今も忘れられない。確か三十何万っていう定価が出ていたと思う(なん

で池袋に行ったかというと、このときマッド・エイカーズが来ていて観に行ったのだ。よく言えば

渋い、ありていに言えばひどく地味な、でもそれなりに楽しめる演奏だった。お客は何であんなに

少なかったんだろう。ただで観られてこちらは得した気分だった。マリア・マルダーがこの中にいた

かどうかまったく覚えていない←余談でした)。
 
 ニール・ヤングが初めて来日したときに武道館で弾いていたのは、黒のレスポールだった。

着ていたトレーナーにZUMAのLPジャケットと同じイラストが入っていた。黒のレスポールからは

「コルテス・ザ・キラー」がうねるように聞こえてきて、レスポールはニール・ヤングの体の一部

になっているようだった。記憶では、このとき未発表の「ライク・ア・ハリケーン」もやったよ

うに思うんだけれど、記憶が定かでない。
 
 レスポールの心地よさに比べると、ホワイトファルコンは「ひっかかる」音だ。オレには

まさに「ガキッ」という音に聞こえる。ジェフ・ベックが言ったように、ニール・ヤングは

決してテクニックがあるわけではないけれど、フレーズのセンスが抜群なのだ。彼の不器用さ

を示すようなあの引っかかる音が、人の心に不思議な引っかかりをつくり、決してうまくは

ないのに何か訴えかけるものを生み出す。その意味で、ホワイトファルコンもニール・ヤング

の、レスポールとは違う部分の心と感覚を表す手段になっていたんだろう。ホワイトファル

コンが飛び跳ねているのは、『渚にて』1曲目のウォーク・オンあたりだろうか。
 
 近ごろはホワイトファルコンを弾く姿を見ない。向こうではまだ弾いているんだろうか。