ヴァン・モリソン: 太っちょおじさん現る
Irish Heartbeat
Avalon Sunset
Hymns to the Silence
奇しくも80年代の終わりから90年代の初めにかけての4枚を選んでしまった。
まあ、好きな4枚ということで。最初の2枚がLPで、あとの2枚がCDだ。このあたり、
つまりIrish Heartbeat のあたりが、RIKIにとってのLPからCDへの移行期にあたる。
学生時代、(例によって)渋谷の郵便局に向かって坂を上って行く途中、道を左に
入った路地の雑居ビルの2階に、「Honky Tonk」(袋が青地に白のラインだったような)
という小さなレコード屋があって、時々顔を出していた。
そこの無口で地味な店員のお兄さんと、何でだったかヴァン・モリソンのことで、
二~三言、言葉を交わしたことがあった。店内の客はオレ一人。
「最近のヴァンはゼムのころから比べると、流して歌ってるよな」
普段は地味な人が、ちょっと激昂したような口調で言ったので、オレは少しひいたんだ。
本当のことを言うと、オレはそのときゼム時代のヴァン・モリソンを聴いたことが
なかった。仕方がないので「へへへ」と笑いでごまかしたら、「何だ、こいつ知ら
ないのか」という顔をされて、会話はそれっきりになった。それでオレは何も買わずに
来たか、そのとき聴き始めていたトラッドのLP、ディック・ゴーガンの
『Coppers and Brass』
をこのとき買ったんだか、よく覚えていない(でも、このLPもなかなかよかった
(写真はCDのもの。オレが持っているのはLPで、真ん中の斜めの部分がジャケット。
地味なギターだけど、味があって誠実さを感じさせる。名手というか職人という感じ)。
たしかあれは曇った冬の日だった。
そのあと、バンドの『The Last Walts』のビデオで、『キャラバン』の最後に
踊り跳ねつつ舞台の袖に去っていく様を観て、「ヴァンおじさんなかなかやるじゃん」
つうことで、よく聴き出した。
ないんだけど。ハハハ)、黒ビールを出すパブの、古いけどよく磨きこんだ年代ものの
カウンターって感じか。アルコールがダメなオレが言うのも笑っちゃうけど。
でも一方で、荒れ野に吹きわたる内省的な風も思わせる。
不思議な人だ。