あ~あ、終わっちゃった(バカラックのコンサート)
関係ねえ。バカラックはオレが生きている限り永遠だ。年寄りの足腰だったけど、瞳は
青年のように輝いていた。
…と、スイスイと会場に着いてコンサートを楽しんだかのように書いたが、実はたどり
着くまでが大変で。
まず、朝。こだまをペットホテルに預けるところから始まった。予約していた
行くまでははしゃいでいたのに、入り口で何か察したか後ろに踏ん張ったきり動かない。さらに
ぐいぐいとあとずさり。抱き上げて無理やり預けた。まるでぐずる子どもを保育園において
くるごとく。
予定していた電車に1本遅れ東京へ。招待券があったので、東京駅近くの美術館に寄ってから
美術館行きを断念。なんのこっちゃ。
腹が減ってきたせいか、例のごとくオレは怒りモード。なんとなくイラついてくる。必死で
飯、飯…と、大丸レストラン街・東京駅地下街とうろついた。前日のTV東京でアド街ック天国
の特集が東京駅だったせいか、マラソンのせいか、はたまたこれが常態なのか大丸が特にすごい
混みようだった。エレベーターが動かないし、暖房の暑さでもうへとへと。約30年前は
この八重洲に毎日通勤していたのだ。笑っちゃうな。
ようやく飛び込んだ「ハゲ天」でランチ(名前で入ったわけではないんだけど、これも
何かの縁か)。7点揚げた順番に出てくる天ぷらを、食べきらないうちに勘違いして出ようと
したり、まあ面白い(情けない)話があったんだけど長くなるので、これは割愛。腹も膨らみ
やっと人心地。が、時計を見たらなんということだ、開演まであと30分しかない。
あわてて東京国際フォーラムをめざし歩き出した。地下はどうも性に合わないので、地上に
出て、またもやうろついた末にたどり着く。あと10分。混んだトイレに入っていらいらしたり
始まる前にすでに汗だくだった。
席は本当に前から2列目で、目と鼻の先にバカラックがいる感じだった。コンサートは
今から思うとすべてが夢の中のようだ。バカラックメドレーで始まったコンサートは、
ほとんど出ないしわがれ声でピアノを弾きながら歌ったアルフィー…ぐっときた。ポップス界の
巨匠だからというようなことではなく、ある一人の人間の歳のとり方をステージの上に
見たという気持ちだろうか、あまりうまく言えないが、内省的な気持ちにさせる何かがあった。
と言いつつ、最後にバカラックがステージから腰を曲げて握手の手を差し出した瞬間、2列目と
いう地の利(?)を生かし、思わず歳を忘れて飛び出し、手に触れてきたミーハーRikiちゃん
なのであった(いいわけするわけじゃないけど、前のほうの席に座ったからには盛り上げないと、
という使命感に似た気持ちが働いたのも事実。いろんな意見はあろうが、クールに眺めている
よりはいいような気がする)。
そのあと余韻にひたったのも束の間、急遽次女の仕事場を覗き見してから帰ろうという
ことになった。みやげの品を迷いつつ買い(娘の好みがわからないことに気づく)、職場へ。
あっちか、いや、こっちだとここでもうろうろしつつようやく発見。仕事中の娘の前に立ち、
みやげの袋をおもむろに差し出す。実は先日来揉め事があり、冷戦中だったのだが、娘は
少し驚いた顔をし、オレの顔を見てたったひとこと。「マジウケル」(柳原可奈子風)。
まあ、それで帰って来た。その後、反応はナシ。とほほ。