前 登志夫さんが亡くなった。著作をそうたくさん読んだわけではないが、なぜか
惹かれていた。元は現代詩を書く人だった。何がきっかけだったのか詩から短歌に移り、
ふるさと吉野を定点にして、いろんなもの――霊的なものも含めた自然の事象や
自分の内面を含む世界を詠ってきた人だった。
なぜ、この人が吉野に住み続けたのか、なぜああいう作風になったのか、なぜオレが
惹かれたのか、これから著作を読んで見つけたいと思っていたが、数冊買った本を全部
読み終えないうちに逝ってしまった。指針にしたい先達の一人だったが。
知っている人が一人ずついなくなっていく。