むかし男(をのこ)ありけり
むかし男ありけり。もう一人の男と連れだち、鉄の馬(車です)を駆って固き石の道(アス
ファルトです)を辿る。上州の山々を越え、越後の隧道(トンネルです)をいくつも抜け、陽も
傾き始めし海辺に辿り着きぬ。ちひさき堅紙(段ボールです)の箱を脇に抱え、波打ち際を
歩く男(木村さんです)、何を思ふや。
というわけで、ブリカの翌日ガラスの木村さんと新潟まで。
遠くに見えるのはまだ雪が残る谷川。
きのうまでやっていた木村さんの個展の搬出と、7月の展示会『卓上のオブジェ展』
(いろんな人が参加します。詳細は、またお知らせします)の件で、松林の中にある
新発田市真中のギャラリー栞(かん)へお邪魔した。
<栞に着く前に>
木村さん「先に海へ行く? それとも栞へ寄ってから、帰りに海に行く?」
オレ「先に栞がいいんじゃねぇ?」
木村さん「(意を得たりというふうに)そうだよね。じゃ、海はあとで」
(目的の半分は海だからね。どうです、気持ち悪いでしょ。ひひひ)
そしてたどり着いた憧れの海。気持ちいいぜ。
実は木村さん、趣味と実益を兼ねて小石を拾っていたのさ(ガラスで使うらしい)。
オレも少し拾った(オレももともとの石好き)。シャツ1枚じゃ寒かった。
来年は来れるかなあと、おじさんはつぶやいたのだ。
新潟の田んぼは広かった。
暗い道を帰ってきたら、こだまと筍入りハンバーグが待っていた。