RIKI舎―雲とマンサク

写真と音楽と身の回りのことなど(消えたYahooブログ「RIKI舎―陶をめぐる日々」から引っ越してきました)

ラッキー・ドラゴン(第五福竜丸)

10時からのETV特集を見た。大江健三郎第五福竜丸の乗組員だった大石又七さんとの対話。

人間は核と共存することが果たして可能なのかを問うた、重く深い番組だった。水爆実験を

中部南太平洋上で60回以上も繰り返したアメリカは、地域住民の治療はせずにデータだけほしかった

のだということ、人命を軽視してモルモットとして扱っていたのだということが、よくわかった。

東電の株主総会で高い壇上にずらっと並んだ17人が、そういうアメリカとダブって頭に浮かんだん

だけどなぜだ?

アメリカはマスコミ、特に日本の場合は大新聞を操作して原発を導入させようと図ったという。その

アメリカの口車に乗せられて日本に原発をもちこんだのが、読売新聞社主の正力松太郎大勲位

中曽根康弘大勲位とは日本が与える最高位の勲章だそうだ。原発をもちこんだことが、どんなに

日本のためになったのか。今年、日本中は思い知ったはずだ。いくらなんでも遅すぎるだろう。

大石さんの発言は至極まっとうだった。細かい表現は多少違うかもしれないんだけど、日本を戦争に

巻き込んだ人間が、戦後、責任も問われないまま社会の中枢になにげない顔でいられるのはなぜか、

原発を推進してきた勢力(=自民党)が、今度の事故にあたって、その反省もせずに政権の足ばかり

引っ張って、何の力にもならずのうのうとしていられるのはなぜか、教えてくださいと、大江さんに問うて

いたのだ。大江さんは「日本人は相手を追い詰めないことであいまいさを残してしまうんですね」と答え

ていた。オレもあいまいさのかたまりかもなあ…あいまいな日本の私。でも、ものごとには、うやむや

にしたままやり過ごしてはいけないことがあるんだ。

「安全です」のNHKがこういう番組をETVでやるのは、まさかガス抜きのためじゃないよな。