PHISH: ジャムパンも好きだけどジャムバンドもいい味だ
PHISHを初めて聴いたのはずいぶん大人になってから、というかだいぶトシを
くってから。ピーターさんの番組でだった。土曜の朝で、寝ぼすけのオレは
布団の中でうつらうつら聴いていた。が、ギターソロになったときに
「ん? ジェリー・ガルシア(故人)か?」 と、意識がむっくり起き上がった。
「ん? ジェリー・ガルシア(故人)か?」 と、意識がむっくり起き上がった。
延々と続くギターソロ、けっこうええがな。ジェリー・ガルシアのギターワークは、
いわば古い足踏みミシンのようで、あくまで有機的な運針で一音一音を空気に
さしながらあるスピードでちくちく進むといった風情なんだが、PHISHのギターも
まさにそこに共通するものがあり、オレはぐっと心をつかまれた。PHISHは何年か
前に来日したことがあるそうだが、そんなことはちっとも知らなかった。
曲の終わった後にピーターさんがフィッシュと言ったとき「さかなかい?」
と思ったら、ピーターさんはすぐに「魚ではなくP-H-I-S-Hというスペル」と
教えてくれた。音楽シーンから遠ざかっていたオジさんはそんなグループ名
すら知らなかったが、そのギタリストの「トレイ・アナスタシオ」という、
ロシアのロマノフ王朝の皇女を連想させる名前にも、引っかかってしまった。
そんなわけで6枚組ボックスセット『Hampton Comes Alive』を、そのあと
すぐ注文してしまった。ピーター戦略に引っかかったかな。聴いた印象は
「けっこう懐が深い」という感じ。変化球あり直球あり。硬軟とりまぜ、
まさに多様性と機知に富んだジャムバンドという印象を持った。
この話は6年前のこと。PHISHはもう解散してしまった。濃すぎる活動をしたせいか。