RIKI舎―雲とマンサク

写真と音楽と身の回りのことなど(消えたYahooブログ「RIKI舎―陶をめぐる日々」から引っ越してきました)

新聞から

 月に一度くらい載る『語りつぐ戦争』という朝日新聞の声欄の特集は、いつも読み込んでしまう

んだが、心に残ってしまいしばらく忘れられなくなる投書が多い。

 きょうの『子を手にかけ母は号泣した』という投書は、読んでいくのがつらい内容だった。

満洲からの引き上げの際、子供は邪魔だから殺せと兵隊に言われ、母親が小学1年の娘の首に剃刀を

当てさせられた。幼子は首から血を流しながら「いい子にするから痛くしないで」と謝り、

泣いて逃げ回ったという。その様子を見かねた母親の友人が、娘の後ろからひもで首を絞めた。

母親は手を緩めないでと言って娘がぐったりするのを見届けてから、思い切り泣いたのだという。

 投書したのは、この話を従姉から聞いた元海軍将校。自身も船で轟沈され、九死に一生

得た方だそうだ。

 またこの特集にときどき載る、飼い犬や家族同然に暮らしていた馬や牛などの話でも、

せつなくなる内容が多くてあとを引く。もの言わぬ動物たちのまなざしをつい想像してしまう。

 

 同じ朝日の文化欄には『反貧困――「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書)で

大仏次郎論壇賞をとった湯浅誠さんの、受賞に際しての文章も載っていたが、まことに

言いたいことを代弁してもらって溜飲の下がる思いだった。でも、自分でガス抜き

して終わりにしてはいけない。やっぱりCHANGE!だな。あとはともかく、変える

だけでも意味がある。

 「結局、私たちはナメられてきた」「私たちは、どんな悪政にも付き従う羊の群れではない

と、示さなければならない。政権を担う人たちには、私たちを恐れてもらわなければいけない。」

「主権は民に在る。私たちはもう一度その原点を思い起こすべきだ。」…よくぞ言ってくれた

とおじさんは思ったのであった。