ポットミルを回しました
いつも使っている灰釉が減ってきたので、釉薬を作りました。水仕事なので夏に作る方が気持ちいいんですが、寒いなか頑張りました。
ポットミルは1時間から1時間半くらい回します。中には磁器のボールが何個も入っていて、水と釉薬の原料を入れてよくすり混ぜます。
カラフルなテープが巻いてあるのは、焼きものやとして独立したばかりの時(ン十年前)ですが、無知なまま使って、買ってすぐにヒビを入れてしまいました。原因は中に入れる水の不足。以来何度もテープを張り替えて、今に至っています。カラフルにしたのはショックを和らげるためです(笑)。このやっつけ対策がけっこう効を奏して、まだ使えています。
左のバケツの中は楢の木の灰です。回したポットミルからバケツに空けたところです。
篩は60目を使っています。数字が大きくなるほど篩は目が細かくなります。
こちらは長石です。少し長く1時間半回しました。長石自体はけっこう細かくなっているんですが、ごみや虫の死骸などの不純物や、かたまりになっているものなどがあるので、用心して十分回してから篩を通します。
長石は100目の篩で濾します。下に、さっき濾した楢灰が見えます。濾しながら混ぜています。長石は片栗粉みたいにすぐ沈殿してしまうので、手早くかき混ぜながら進めます。沈殿防止剤は不都合なことが多く、RIKIは使っていません。
灰釉はこのほかの原料を加えたり、配合を工夫したりして作ります。このあたりは、使う土との相性や使っている窯、焼き方も関係してくるので、人それぞれです。
原料の灰ですが、本当は自分で木を燃やして作りたかったのですが、今の時代はもう簡単に木が燃やせません。そこで、できるならまきストーブを…と思ったんですが、諸般の事情があってかなわず。
ということで、RIKIは何十年も前にもらったシイタケ栽培用の榾木の灰を大事に大事に使っています。まあこれでも生涯十分いけそうです。
灰はポットミルに入れる前に、やる仕事があります。もらった灰は大きいポリバケツにどどっと入れて水を入れ、粗い篩でまずごみを濾し取ります。
ごみを取っては篩の目をだんだん細かくしていって、沈殿の頃合いを見計らって水と灰の混合液を篩に通し(砂のような細かくて重いごみはバケツの底に残します)、原料のサイズ60目までにしていきます(この作業が水簸です)。
これで終わりかと思ったらまだまだです。この細かくなった灰からアルカリ分を取り除きます。灰の上水を1~2日に1回程度何度も交換していくことでアルカリ分が抜けていきます。上水を触ってぬるぬるしなくなったら、大きな布袋に入れて水を切りつつ灰を干します(このアルカリ水のほうは染色に使えます)。
やれやれ、やっと原料の灰ができました。ということで、作業は最初のポットミルに戻ります。楢灰じゃなく藁灰の時はこれ以上に大変ですが、その辺はまたいずれ。